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欧州選手権 マッチレポート

パワープレーよりも個の力(スペイン対ハンガリー・欧州選手権2016マッチレポート)

2016/08/27

右サイドで敵DFと対峙するフットサルスペイン代表ミゲリン

スペイン代表のミゲリンは、ハンガリー戦で2得点を決めた。優勝候補スペインは白星スタートだが、不安要素がないわけではなかった。

欧州選手権大会初日、歴代最多優勝国スペインは、ハンガリーと対戦した。ハンガリーを率いるのは、かつてバルドラール浦安を率いたシト・リベラ監督だ。スペインはこれまでに欧州選手権を6度制覇してきた。一方、ハンガリーは今大会が初出場だ。両者には歴史の差と同じくらい実力差がある。この差をどう埋めるか。シト・リベラが選択したのは、パワープレーだった。前半のパワープレーは、スタミナに差がある相手と最後まで戦うために、ボールをキープすることで体力回復を図った。後半はリードを奪われていたので、得点を狙った。ハンガリーのパワープレーは、スペインとの差を埋めれなかった。

ハンガリーの2得点は、ピヴォのドゥルオトゥが決めた。カザフスタンのカイラト・アルマトイに移籍が決まっている大型ピヴォは、百戦錬磨のスペインのフィクソを手玉にした。フリーキックから豪快なミドルシュート、ドリブル突破からのシュートという個の力で2点を奪ってみせた。スペインに牙を向いたのは、ハンガリーが誇るタレントの個人技だった。シト・リベラは試合後の会見で、得点を決めたドゥルオトゥについて「世界中が彼を見たから、話すことはないだろう。スペインで落ち着いてプレーできる選手だ」と称えた。戦略で差は埋まらなかったが、個の力で距離を詰めていた。

難しい初戦でスコアボードを動かしたのは、セットプレーだった。ベナンシオ監督が「ハンガリーのディフェンスは、私たちの問題だった。プレス回避もシュートまで持ち込むのにも苦労した」と振り返る。初戦の緊張もあってか、序盤のスペインは浮き足立っていた。そんな苦しい状況の中、スペインがゴールを決める。先制点も2点目もセットプレーだった。伝家の宝刀は健在だ。2点をリードすると落ち着いたスペインはパラレラ、ピヴォ当てといった連携からミゲリンが2得点、アンドレシートが1得点を決めて、リードを広げた。完勝とも言える最高のスタートだ。

しかし、不安要素がないわけではない。リーダーの不在だ。苦しい時間帯、もしくは勝敗を分ける決定的な時間にチームをコントロールするリーダーだ。かつてのスペインには必ず偉大なリーダーがいた。たとえばハビ・ロドリゲス、ルイス・アマド、キケだ。彼らは経験とプレーでチームを引っ張ってきた。今のスペイン代表にはいない。今大会中にスペインの新たなリーダーは誕生するのだろうか。

スコアシート

グループB
スペイン 5
ハンガリー 2

[得点経過]

  1. 1-0 ニイメット(ハンガリー)7分03秒 ※オウンゴール
  2. 2-0 ベベ(スペイン)14分17秒
  3. 3-0 ミゲリン(スペイン)19分34秒
  4. 3-1 ドゥルオトゥ(ハンガリー)23分35秒
  5. 4-1 ミゲリン(スペイン)28分44秒
  6. 5-1 アンドレシート(スペイン)35分13秒
  7. 5-2 ドゥルオトゥ(ハンガリー)37分08秒

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