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再熱狂

2022/03/16

スペイン18節・バルセロナ 4-4 サンタ・コロマ

得点を決めたスロバキア代表ドラホフスキーに、バルセロナのキャプテンが詰め寄る。眉毛をつり上げたセルヒオ・ロサノは相手の顔を指差し、お前の得点は認めないからな、見てみろ。そうやって相手陣内の左サイドでやっと起き上がったポルトガル代表の同僚を手で示す。昨シーズンの得点王は肩をすくめて、で、俺にどうしろって言うんだい? とジェスチャーで示していた。アンドレ・コエーリョは浮き球を処理する時に上げた足がドラホフスキーにスパイクされ倒れたが、審判の笛は鳴らず。プレーは続行され、サンタ・コロマがカウンターから得点を奪っていた。スタンドは自分たちのキャプテンの意見に賛同するかのようにブーイングを飛ばし、バックスタンドの最上部に押し込められたアウェーチームのサポーターは「サンタ・コロマ! サンタ・コロマ!」と連呼していた。コートは人間が発する多くの感情で白く曇っている。まだ観衆の口元はマスクで覆われているが、コートに再び熱狂が戻ってきた。

3月11日21時にキックオフされたゲームは、久々に胸が躍った。スタンドから送られる観衆の喜怒哀楽からなるエネルギーが、この小さなスポーツを大きく魅力的にしている。今まで当たり前にあった。だから無観客となった時は、喪失感があった。少しずつ人が戻ってきていたとはいえ、2年も経つと、血肉が沸騰するこの感覚を失っていたことに気づいた。

リトアニアで行われたワールドカップでは閑散とした立派なアリーナの上方から準決勝2試合を観た。セレソンのホシャの身のこなし、アルゼンチンのサルミエントの決定的なセーブ、世界王者に導いた指揮官ホルヘ・ブラスの大胆な賭け。コート上はディティールまで一級品だったが、何かが欠けていた。台湾、ブラジル、タイ、コンロビアとワールドカップは毎回スタンドが寂しいのは確かだ。だから、この空虚感が何なのか、認識できなかった。バルセロナを本拠地とする2チームによる満員のダービーが思い出させてくれた。

熱狂が帰ってきた。

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