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欧州選手権

リカルジーニョの見事なループ、ポルトガル初戦勝利

2016/08/28

ポルトガルが難しい初戦を制した。大会2日目、グループDに属するポルトガルはアゼルバイジャンと試合を行い、4−1で勝利。

アゼルバイジャンはUEFAフットサルカップ常連の強豪クラブ、アラサのメンバーが大半を占めており、セルジャオやフェリペといったアゼルバイジャンの国籍を取得したブラジル人もいる。容易に勝てるような相手ではなかった。試合は初戦ということもあり、拮抗した展開になると僕は思っていたが、意外にもポルトガルが早々と2点を先行する。

理由は簡単だった。アゼルバイジャンにとってもこのゲームは大会初戦。彼らはポルトガル以上に地に足がついてなかったのだ。

ポルトガルはロシアリーグで活躍するカルディナルが2分に決めて先制。その1分後には揺さぶって左からジョアオ・マトスがゴール前へクロス。アゼルバイジャンのフェリペがこれをクリアできず、自軍のゴールに押し込んでしまった。

ポルトガルが2点先行。この2点差はポルトガルがよかったというよりもアゼルバイジャンがあまりにも悪過ぎた結果、生まれたものだ。集中力も散漫だったし、前線からのプレスを仕掛けてくるポルトガル相手にあまりにも無力で、パスもつなげていなかった。

特にブラジル代表のベットンよりも大きく、まるでバスケットボール選手のシャキール・オニールのような風貌のピヴォ、セルジャオを全く活かすことができず。分かり易い灯台があるのに、羅針盤がないので、チームはただ路頭に迷っていた。

試合を決めた時間帯

試合はこのままポルトガルが押し切るかと思われたが、そうは事が簡単に進まなかった。6分、アゼルバイジャンは前方に抜け出した選手がポルトガルのジョエルとゴレイロ、ジョアン・ベネディートの連携の悪さを突き、ゴールを奪う。ポルトガルにとっては防げた失点だった。

スコアボードは動いたが、試合の情勢は変わらなかった。ポルトガルがゲームを支配する。

ポルトガルはエースのリカルジーニョが後方からゲームをコントロール。特にこの日は浮き球でピヴォのカルディナル、ジョエルにパスをすることが多かった。

彼はこの2人とは今季CSKAモスクワ、そしてベンフィカでチームメート。それだけに互いのことをよく知っているのだろう。

リカルジーニョと長身ピヴォのコンビネーションに3人目として、小柄なジョアオ・マテオ、ペドロ・カライ、そしてドリブルが得意なマリーニョが飛び込む。ポルトガルのアタックはペドロ・コスタらがいたひと昔前のポルトガル代表に比べて、より直線的で速い。ポルトガルはそうやって次々に決定機を手にしたが、なかなかゴールを奪うことはできない。あとは無人のゴールに押し込むだけなのに、カルディナルがファーに詰め切れなかったり、マリーニョがゴレイロとの1対1を外したり。

それ以上にポルトガルにはきれいに崩しすぎる嫌いがあった。彼らはなかなかシュートを打たない。ディフェンスが目の前にいたらもちろん打たないし、サイドから崩して、ディフェンスやゴレイロを誘い出してからの"きれい"なゴールを決めたがっているようだった。それでは恐さもなければ、得点も生まれない。時には強引さが必要だが、初戦だからか、自分たちの理想とピッチで起きている現実のバランスを掴み切れていないようだった。

ポルトガルが決定機を外し、スコアボードを自ら膠着させた。すると徐々にアゼルバイジャンに試合の流れは傾き始める。

ピヴォのセルジャオが左サイドやピヴォの位置で存在感を出し始めると、それまで全く噛み合っていなかったアゼルバイジャンのセットプレーが嘘のように機能し始める。コーナーからボリゾフ、チアゴがダイレクトボレーで決定機を掴む。

前半終盤から後半の開始5分までにアゼルバイジャンには試合を振り出しに戻すチャンスが数多くあったが、彼らもまたその決定機をスコアボードにつなげることはできなかった。

すると25分、ポルトガルはカウンターからマリーニョが決めて、3−1。勝負はこの1点で決まった。頭を垂れるアゼルバイジャンにはもう1度流れを呼び戻す力も気力もなかった。

いい流れの時間帯に同点にできなかった。それがアゼルバイジャンの初戦黒星の大きな要因であり、試合の勝敗を決める重要な要素となった。

リカルジーニョの緩急

ポルトガルのリカルジーニョは相変わらず、いい選手だ。この日はチームのバランスを司る役割を与えられていたのか、サイドで仕掛ける場面はほとんどなかったが、随所に彼の高いスキルが光った。左足のアウトサイドで見事な浮き球のループパスを出したり、エラシコで突破をはかったり。試合後、何人かのボールボーイが小柄なポルトガルの10番と写真を撮りたがっていたが、彼のプレーはやはり単純に観ているだけで楽しいし、驚かされるし、ファンタスティックだった。

僕はリカルジーニョの緩急のつけ方に改めて見入ってしまった。彼はスピードの緩急のつけ方が巧い。静から動へ。初速からトップギアへ。ボールを持って仕掛ける時、パスを受けるためにフェイクする時、そしてピッチ中央へ顔を出す時のフリーランニング。彼のトップスピードはとても速い。そこにスピードの緩急をつけられてしまうのだから、相手ディフェンスが手を焼くのは決まっている。

リカルジーニョのこの日最大の見せ場は37分だった。

左サイドを抜け出したリカルジーニョ。ゴレイロが飛び出して来ると左インサイドでボールをすくいあげる。ボールは見事な弧を描き、右サイドネットに吸い込まれた。リカルジーニョはゴール後、広告の上に乗ってガッツポーズ。見事なループシュートだった。

アゼルバイジャンはパワープレーに移行するのが遅かった。3点差になってからパワープレーをしても何の意味もない。この日はベンチの采配も大会初戦からなのか、ちぐはぐしていた。

スコアは結局このまま、4−1。

ポルトガルが大事な白星を手にした。

スコアボード

UEFA欧州選手権クロアチア2012 グループD(2012/2/1)

Portugal 4-1 Azerbaijan

  1. 1-0カルディナル(ポルトガル)2分
  2. 2-0フェリペ(アゼルバイジャン)3分 ※オウンゴール
  3. 2-1ファラジャデ(アゼルバイジャン)6分
  4. 3-1マリーニョ(ポルトガル)25分
  5. 4-1リカルジーニョ(ポルトガル)37分

UEFA欧州選手権2日目結果

2月1日に行われたUEFA欧州選手権2日目の結果は以下のとおり。

グループC
イタリア 3−1 トルコ
グループD
ポルトガル 4−1 アゼルバイジャン

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