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欧州選手権

浮き彫りになった両監督の采配ミス(クロアチア対ロシア・欧州選手権2016マッチレポート)

2016/08/27

ドリブルで突破しようとするフットサルロシア代表ロムロ

ロシア代表ロムロがドリブル突破を試みる。ロシアは何とかクロアチアと引き分けた。

グループCの最終戦、カザフスタンとの初戦を落としているクロアチアは勝たなければ、準決勝進出の可能性はない。1位で突破を目指すロシアは初戦で勝利し、引き分けでも1位での勝ち抜けとなる。

ロシアはこのゲームを"消化試合"と位置づけたのか。主力を温存し、1戦目で重用していなかった選手を先発起用した。カザフスタン戦でファーストにもセカンドセットにも固定されていなかった選手たちだ。彼らは試合開始からトップギアのクロアチアの勢いに置き去りにされた。セルゲイ監督は面を喰らったに違いない。なぜなら2日前にカザフスタンを相手に低調なプレーをしていたクロアチアとコートにいるチームは全く違ったからだ。

クロアチアは試合開始からロシアを押し込む。得点を奪うという意思をプレーで強烈に示し続けていた。ロシアは抗おうとしたが、1度決まった風向きを変えられない。セルゲイ監督は主力を投入し、後半にはカザフスタン戦と同じファーストとセカンドで挑んだが、常に先行されたゲームを同点で終えるのが精一杯だった。

ロシアが苦戦した最大の要因は、セルゲイ監督の采配ミスだ。欧州選手権の本大会にもかかわらず、まるでトレーニングマッチに挑むような気軽さで選手たちをコートに送り込んでしまった。ロシアは自分たちのリズムを1度もつかむことがないまま、嫌な汗を40分流した。引き分けでグループリーグ首位という目的を達成したのだから、結果という点では成功だったが、選手は体力的にも精神的にもチームが想定していた以上に疲弊しただろう。

2週間の大会において、毎試合いいゲームをするというチームはない(例外は2010年ハンガリーの欧州選手権を制したスペインだけ)。グループリーグで低調な試合をしてしまったことは気持ちを引き締める上で、いい体験となったはずだ。セルゲイ監督も今後の決勝トーナメントで同じミスを繰り返しはしないだろう。

優勝候補のロシアを攻め立てたクロアチアだが、勝ち点3を奪えなかった。モチベーションがなかったとはいえ、優勝候補ロシアを押し込んだ。マリノビッチ、イエロブチッチらが仕掛け、決定機をつくった。彼らの目の色は2日前のカザフスタン戦とは違った。この日は"決戦"のような意思を全選手がコートで示した。クロアチアにはロシアを手こずらせる武器を持った選手たちがいた。そんなポテンシャルが高いチームが、なぜグループリーグ敗退となったのか。

クロアチアの指揮官マト・スタンコビッチが初戦を戦う上でのマネージメントを完全に誤ったことは、今大会の敗因の1つに挙げられるだろう。選手たちのモチベーションを初戦で、ロシア戦のように上げることができなかった。もし決勝戦を戦うような姿勢で初戦に挑めていれば、少なくともカザフスタンにクロアチアは負けなかった。ロシア戦の好パフォーマンスが、初戦の采配ミスをより際立たせた。

スコアシート

グループC
クロアチア 2
ロシア 2

[得点経過]

  1. 1-0 ロビーニョ(ロシア)8分13秒 ※オウンゴール
  2. 1-1 アブラモフ(ロシア)11分20秒
  3. 2-1 ノバク(クロアチア)24分54秒
  4. 2-2 ビジリエチフ(ロシア)38分07秒

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