スペインが"チーム・リカルジーニョ"に完勝(ポルトガル対スペイン・欧州選手権2016マッチレポート)
2016/08/27
世界最高峰の1つのチームが、世界最高の選手に勝利した。
リカルジーニョだけでは、14人のスペインには勝てなかった。
リカルジーニョは後半早々にカウンターから1点を決めると、25分にはヒールリフトで1人抜き去り、トーキックで叩き込んだ。
しかし、1人ではそれが限界だった。
ポルトガルはあまりにもリカルジーニョに依存していた。決定機をつくるにはドリブル、パス、シュートとリカルジーニョが全て1人でやらなければならなかった。試合後にスペイン代表監督ベナンシオは「他の惑星からやって来た選手」と称えたが、いくら抜きん出た才能でも、1人だけでチームを勝利に導くことはできない。期待されたカルディナルもポラ、オルティス、ホセ・ルイスの激しいディフェンスにあい、前線で起点になれなかった。
スペインはリビィーリョがドリブルを仕掛け、ディフェンスのバランスを崩し、ミゲリンがそのスピードを活かしたパラレラを狙い、アレックスがループシュートを決めた。パワープレーを仕掛けられた時は、ゴールマウスを守るバルセロナのキャプテン、パコ・セラーノが決定機をことごとく封じた。1人1人が忠実にチームの規律の中で自分の個性を発揮した。
スペインはチームで、リカルジーニョに打ち勝った。
リカルジーニョがヒールリフトからのシュートというスペクタクルなゴールを決めると、スタンドの全てのセルビア人がポルトガルの勝ち残りを希望した。そして、その思いを野次にのせた。スペインがボールを持つと、会場はブーイングに包まれた。今大会のスペイン代表には今までチームを支えてきたハビ・ロドリゲス、ルイス・アマド、キケのような精神的支柱がいないことに物足りなさを感じていた。ゆえに会場からブーイングが起きた時にスペインはナーバスになり、試合の流れが一気に変わるのではないか。そう疑っていたが、スペインはそれぞれが落ち着きを払って、選手個々が自分の仕事を全うした。ポルトガルのパワープレーが始まっても、バランスは乱れなかった。かつてのような特定の偉大なリーダーはいないが、これまでのスペイン代表と同様に"勝者のスピリット"がこのチームに受け継がれていることを実証した。
スコアボード
準々決勝
ポルトガル 2
スペイン 6
[得点経過]
- 0-1 ミゲリン(スペイン)12分39秒 PK
- 0-2 リビィーリョ(スペイン)14分59秒
- 0-3 アレックス(スペイン)17分40秒
- 1-3 リカルジーニョ(ポルトガル)22分24秒
- 1-4 ラウール・カンポス(スペイン)22分55秒
- 2-4 リカルジーニョ(ポルトガル)25分31秒
- 2-5 アレックス(スペイン)34分32秒
- 2-6 リビィーリョ(スペイン)39分30秒