スペインフットサルの真骨頂(ウクライナ対スペイン・欧州選手権2016マッチレポート)
2016/08/27
ウクライナは、速攻を得意とするチームだ。相手からボールを奪えば、すぐさま縦にボールを走らせ、直線的にゴールを襲う。そのウクライナに対して、スペインが仕掛けたのが、ハイプレスだ。
スペインの第2監督フェデの声が、コートに響く。少しでも選手が遅れたり、プレーの強度を落とせば、その手綱を締めるように、彼が喉を枯らす。スペインはハイプレスでパスの出所に栓をした。一滴も水を漏らすことを許さない。そんな厳重で、シビアなハイプレスだ。
ウクライナも同じようにスペインに対して、ハイプレスを仕掛けたが、その効果は歴然としていた。
前半にウクライナは少なくとも7、8回はパスコースがなく、ボールを奪われるのを回避するために外に大きく蹴り出した。一方、スペインがウクライナのプレスにはまり、ボールを蹴り出したのは2回だけ。ウクライナは前半途中からプレス回避が成功しないとわかり、ゴレイロから前線の大型ピヴォへロングスローを投じるという戦略に変更した。それはスペインがプレス合戦を制したことを意味した。
スペインのフットサル観では、後方に退いて、カウンターを仕掛けることを善としない。戦略としてはもちろん認めるが、彼らのフットサル観で言えば、それは悪だ。フットサルは互いにハイプレスを仕掛け、それをパスワークでいかに崩すか。その攻防を観衆は求めている。この日のスペイン代表のパフォーマンスに満足した国民は多かっただろう。
スペインの先制点は前半終了間際に生まれた。セットプレーからアレックスがダイレクトで蹴り込んだ。前半でプレス合戦に勝利し、なおかつセットプレーがこう着状態を打ち破った。そして後半もハイプレスを途切らせることなく、3点を立て続けに奪った。
実にスペインらしいフットサルで、グループリーグ首位突破を決めた。
スコアシート
グループB
ウクライナ 1
スペイン 4
[得点経過]
- 0-1 アレックス(スペイン)19分02秒
- 0-2 リビィーリョ(スペイン)29分17秒
- 0-3 アレックス(スペイン)33分18秒
- 1-3 マイコラ(ウクライナ)37分26秒
- 1-4 リビィーリョ(スペイン)39分47秒