チームが主役のスペインのハイプレス(スペイン対カザフスタン・欧州選手権2016マッチレポート)
2016/08/27

プレスを仕掛けるスペイン代表のミゲリン。相手陣内に積極的に走り込み、スペインはハイプレスを仕掛けていた。

得点を決めて喜ぶスペイン代表。
「選手たちを祝福した。彼らのスペクタルなハードワークに感謝している。彼らが決勝進出の立役者だ。(欧州選手権に向けて始まった合宿の)22日前は疑念があったが、今私たちは決勝にいる。ゆえに選手たちは偉大だし、彼らのメリットだ。ベナンシオのミラクルか? いいや、選手たちが起こしたミラクルだ」
試合後、ベナンシオ監督は決勝進出を果たしたのはあくまで選手のおかげであることを強調した。それは彼の采配にも表れていた。
カザフスタンはパワープレーのキーマンである足元が巧みで強烈なシュートが武器のゴレイロ、イギータを出場停止で欠いた。それでもカザフスタンのカカウ監督が仕掛ける戦略は変わらなかった。キックオフからゴレイロのユニフォームを着た選手をコートに送った。数的優位な局面をつくり、ディフェンスのバランスを崩す。カザフスタンは得意のパワープレーから、先制点を奪う。
カザフスタンは足元にボールを持っていないが、試合のペースを自分たちのものにした。序盤はカザフスタンが何度も決定機を手にした。しかし、スペインのゴレイロ、パコ・セラーノが好セーブでスコアボードを硬直させた。彼の存在は絶大だ。
スペインはパワープレーを仕掛けるカザフスタンに対して、とにかくバランスを保ちながらも、ボールがカザフスタン陣内にあれば、距離を詰めて、プレスを仕掛けた。イタリアは後方に退いて待機したが、スペインが選択したのは今までの戦いで示していたハイプレスだった。そうすることでカザフスタンのパワープレーを分断した。
攻撃ではスペインはパス交換が速いので、カザフスタンのファーストディフェンスは的が絞れなかった。キャプテンのオルティスが前線に駆け出すなど、後方の選手が積極的に前線に上がる。パスのリズムを下げず、選択肢を増やすことに主眼を置いていた。とにかくボールが止まらないように、足を動かした。
一方で、スペインに最後まで穴がなかったわけではない。終盤にはパワープレーを仕掛けるカザフスタンに立て続けに2点を失った。試合はそれまでにスペインのペースで進んでいたが、直前に隙を見せた。これまでの試合でもそうだったが、試合をきっちりと締めることができない。経験のなさが露呈されていた。
連続して失点した時にすかさず第2監督のフェデがタイムアウトをとろうとカードを手に取ったが、ベナンシオ監督はそれを制した。苦境だった。しかし、タイムアウトをとらなくても、選手たちだけでもやってくれるから大丈夫だという指揮官の信頼がその仕草に見てとれた。カザフスタンにさらなる考える時間を与えたくなかったのだろう。失点はしたが、それまでのパワープレーの対応はできていた。
ベナンシオの采配は的中した。その後、スペインはラウール・カンポスが決定的なゴールを奪い、試合を決めた。
スペインには主役となる選手はいない。14名全員が主役だ。かつてのようなビッグネーム、絶対的なリーダーはいないが、とても結束したチームは7度目の欧州制覇に王手をかけた。
スコアシート
準決勝
スペイン 5
カザフスタン 3
[得点経過]
- 0-1 ドヴァガン(カザフスタン)3分17秒
- 1-1 ベベ(スペイン)7分34秒
- 2-1 ミゲリン(スペイン)16分10秒
- 3-1 ラウール・カンポス(スペイン)17分32秒
- 4-1 アレックス(スペイン)26分28秒
- 4-2 レオ(カザフスタン)35分39秒
- 4-3 サルマンクロフ(カザフスタン)37分17秒
- 5-3 ラウール・カンポス(スペイン)38分54秒