指揮官とゴレイロが前回王者イタリアを破る(カザフスタン対イタリア・欧州選手権2016マッチレポート)
2016/08/27
前回王者イタリアは、グループリーグで最も王者に値するパフォーマンスを示したチームだった。アゼルバイジャン、チェコに無失点で完勝。しかもチェコには7ゴールを叩き込んだ。結果だけではない。内容も素晴らしかった。前大会での優勝メンバーがほとんど残るグループには結束と信頼があり、そしてタイトルの飢えがあった。
そのイタリアがカザフスタンの戦略であるパワープレーをどう打ち破るか。しかし、王者はイギータに注視するあまり他に対して集中力が削がれていた。
カザフスタンの1点目はコーナーだった。ブラジル人のレオが決めている。イギータが上がってくると後方に退き、警戒を強めたが、一方で他の選手には甘かった。2得点を決めたレオの他にもカザフスタンには強烈なシュートを得意とするドゥグラスもいたが、彼にも何度も危ない場面をつくられている。彼らに対する注意がイタリアには欠けていた。
また攻撃でもカザフスタンのファーストディフェンスを攻略できなかった。カザフスタンは前線からプレスを仕掛けるが、ファーストラインの2人のプレーの強度は高く、寄せも速かった。イタリアはディフェンスのファーストラインを越えるのに苦労した。イタリアの1-2となる後半早々の得点は、エルコレッシがトラップした瞬間にボールを浮かし、ディフェンスを抜き去った後のクロスがアシストになった。トラップした瞬間にボールを浮かすトリッキーな抜き方が決め手となったが、そう何度もそんなアクロバティックな抜き方ができるわけがない。結局、そんな突発的な抜き方でしか攻略できず、継続的にディフェンスのファーストラインを越えられなかった。一方で、イタリアはハイプレスに押しつぶされ、自陣後方でボールを奪われ、カザフスタンに得点を決められた。
イギータにやられる場面はなかったが、パワープレーにあまりにフォーカスした結果、イタリアはカザフスタンに他の部分で隙を突かれてしまった。
イタリアは終盤にパワープレーを仕掛けたが、追いつけなかった。
カザフスタンのカカウ監督は「今日はカザフスタンが5対4のプレー、そしてその守り方も知っていることを世界中に示した」と試合後の会見で話した。カザフスタンが見事な戦略で、クロアチアに続き、王者イタリアも葬り去った。
カザフスタンは準決勝でスペインと対戦する。戦術の軸となるイギータは出場停止だ。「イギータなしでも我々はパワープレーを持っている」とカカウ監督は誇らしげに話していた。
スコアシート
準々決勝
カザフスタン 5
イタリア 2
[得点経過]
- 1-0 レオ(カザフスタン)15分51秒
- 2-0 サマンクロフ(カザフスタン)18分47秒
- 2-1 フォルティーナ(イタリア)22分21秒
- 3-1 イニシナタナ(カザフスタン)22分51秒
- 3-2 カナル(イタリア)36分24秒
- 4-2 ヌルゴージャ(カザフスタン)36分30秒
- 5-2 レオ(カザフスタン)39分37秒