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欧州選手権

ルールを改善しなければ、フットサルの更なる発展はない(イタリア対アゼルバイジャン・欧州選手権2016マッチレポート)

2016/08/27

ゴール後に抱き合うフットサルイタリア代表の3選手

3点目を決めて、喜ぶイタリア。グループが結束し、選手層も厚い。前大会を大半の選手が経験している。王者の威厳を初戦で示した。

王者が初戦からその強さを示した。キャプテンのガブリエル・リマ、ムリーロら2年前の前大会を制したメンバーの大半が残っているイタリアは、成熟していた。8人がイタリア国籍を取得したブラジル人だが、グループの結束は強く、各々が自分の役割を忠実に勤勉にこなす。全員が同じ方向を見る戦う集団だ。よそ見している人間は1人もいない。目的は大会連覇。彼らのプレーからそのことがスタンドにも伝わっていた。

スペイン人監督ティノ・ペレス監督が率いるアゼルバイジャンは強度の高いプレーでその実力差を埋めようとしたが、前半にブラジルとの二重国籍のアマデウが退場するとプランは完全に崩れた。前半終了間際に1人少ないアゼルバイジャンは先制点を奪われると、後半早々にリードを広げられた。するとアゼルバイジャンはすぐさまパワープレーを始めたが、イタリア相手に何もできず。攻守において、王者が完勝した。

ゲームを攻撃的にするために、ルールは変えるべき

大会2日目は2試合が行われた。

イタリア対アゼルバイジャン、そしてこのゲームの前にはロシアとカザフスタンが対戦した。カザフスタンも、アゼルバイジャンも負けていたチームは後半のほとんどをパワープレーに費やした。2試合80分のうち、この日は30分がパワープレーだったのではないか。来場した約2,300人の観衆は、フリーズしてしまったコートを30分見て、何を思っただろうか。もう1度このスポーツを観戦しようと胸をときめかせて帰宅した人は何人いただろうか。

実力の劣るチームが、強豪相手にパワープレーを行う。パワープレーは実力差を解消するひとつの手段であり、戦略だ。僕はパワープレーを批評する気は全くない。またパワープレーを実行に移す采配を「ゲームをつまらなくする」と批判するのもお門違いだ。手元にあるカードを使って、チームを勝利に導くのが、監督の役目であり、仕事だ。ルール内で勝利のためにできることはしなければならない。

問題はルールだ。

ルールがパワープレーを何度も、長時間仕掛けることを容認している。フットサルはプレスとパスワークの対峙、攻守の駆け引きが魅力のスポーツだと思う。ただ、パワープレーにより試合が何度もこう着することは、このスポーツの魅力を半減させる。たとえば、バスケットボールのように、ゴレイロのユニフォームを来た選手が相手陣内に入ったら20秒以内にシュートを打たなければならないなど、何らかのルール改正が絶対に必要だ。

「フットサルはスペクタクルで、面白いスポーツですよ」

あの晩、フットサルはセルビアでそう訴えかけるチャンスを、ルールによって逃してしまった。

スコアシート

グループD
イタリア 3
アゼルバイジャン 0

[得点経過]

  1. 1-0 メルリム(イタリア)19分39秒
  2. 2-0 メルリム(イタリア)20分09秒
  3. 3-0 ジャクソン(イタリア)28分28秒

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