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UEFAフットサルカップ

2016/08/28

ヨーロッパクラブ王者を決める大会「UEFAフットサルカップ」について説明する。

UEFAフットサルカップは欧州各国のリーグ王者が参加する大会で、毎シーズン行なわれる。サッカーのUEFAチャンピオンズリーグのフットサル版ととらえていただきたい。

王者を輩出した国が唯一、この大会に2チーム送り出すことができる。たとえば2013-2014シーズンのUEFAフットサルカップはバルセロナが制覇した。ゆえに2014-2015シーズンはスペインからは前大会王者としてバルセロナ、そして国内リーグ王者としてインテル、この2チームがスペインから参加している。

UEFAフットサルカップは以下のラウンドを経て、欧州王者を決める。

予選ラウンド
UEFAが選定する欧州リーグランキング下位の各国リーグ王者が4チームずつのひとつのグループとなり、1会場で集中的に総当り戦が行われ、各グループの勝者が次のラウンドに進む。
メインラウンド
このラウンドは予選ラウンドを勝ち抜いたチームと欧州リーグ上位ランキングのリーグ戦王者が参加する。4チームずつ6つのグループに分かれる。各グループはひとつの開催地で集中的に行われ、各グループの上位2チームがエリートラウンドに進む。
エリートラウンド
メインラウンドを勝ち抜いた12チームに加え、前回王者、またランキング上位リーグの王者かつ近年の同大会で優秀な戦績を残した3チームが参加する。4チームずつ4グループに分かれ、各グループはひとつの開催地で集中的にゲームを行い、各グループの1位が決勝ラウンドに進む。
決勝ラウンド
決勝ラウンド、またはファイナル・フォーと呼ばれる。エリートラウンドを勝ち抜いた4チームが参加。参加する4チームの中の1チームの本拠地で準決勝、3位決定戦、決勝が集中して行なわれる。準決勝の組み合わせは抽選で決められ、勝者が欧州王座となる。3位決定戦は40分で決着がつかなければ、そのままPK戦で決着をつける。準決勝、決勝は40分で決着がつかなければ、10分間の延長戦。延長戦でも勝敗が決まらなければ、PK戦となる。

UEFAフットサルカップ歴代優勝クラブ

  1. 2001-2002 カステジョン(スペイン)
  2. 2002-2003 カステジョン(スペイン)
  3. 2003-2004 インテル(スペイン)
  4. 2004-2005 シャルルロワ21(ベルギー)
  5. 2005-2006 インテル(スペイン)
  6. 2006-2007 ディナモ・モスクワ(ロシア)
  7. 2007-2008 ヴィズ・シナラ・エカテリンブルグ(ロシア)
  8. 2008-2009 インテル(スペイン)
  9. 2009-2010 ベンフィカ(ポルトガル)
  10. 2010-2011 モンテシルヴァーノ(イタリア)
  11. 2011-2012 バルセロナ(スペイン)
  12. 2012-2013 カライト・アルマトイ(ウズベキスタン)
  13. 2013-2014 バルセロナ(スペイン)

カステジョンの黄金期、インテルの欧州制覇

UEFAフットサルカップの初代王者はスペインのカステジョンだった。カステジョンは1999-2000シーズンにUEFAフットサルカップの前身である欧州フットサルクラブ選手権を制覇しており、実質3シーズン連続で欧州制覇をなし遂げたことになる。

カステジョンは当時スペインリーグ連覇(1999-2000、2000-2001)を果たしており、まさにクラブの黄金期にあった。2000年にスペイン代表を世界王者に導いたハビ・ロドリゲス、ハビ・サンチェス、ギジェルモらを中心に欧州も席巻した。

2002-2003シーズンから2005-2006シーズンまで決勝はホーム&アウェーで決着をつけていた。

カステジョンの後に欧州王者となったのが、インテルだ。インテルはカステジョンの国内リーグ3連覇を阻止すると、欧州でもその座を奪った。インテルのターニングポイントは2001年夏の補強だった。この年の夏にスペイン代表ルイス・アマド、ブラジル代表シュマイケルを獲得。そのシーズンの冬の移籍市場ではマルキーニョ(後に名古屋オーシャンズに入団)も加入し、クラブの黄金期の主軸3人が揃った。インテルは決勝でベンフィカを破り、初めて欧州王者に輝いた。その後も2005-2006、2008-2009シーズンにUEFAフットサルカップを制覇。インテルは現在UEFAフットサルカップ優勝を最も多くなし遂げたクラブとなっている。スペインの名門は、欧州の名門である。

ロシアの時代

2006-2007シーズンから現行の大会方式となった。決勝ラウンドはスペインのムルシアで行われた。2005-2006シーズンのスペインリーグ王者エルポソのホームタウンだ。

準決勝はエルポソ対インテルというスペイン勢同士の対戦となった。試合は2-2のまま終わるかに思われたが、インテルのダニエルが試合終了1秒前に決勝点を決めて、インテルが決勝に進出した。エルポソの本拠地は一瞬にして、静まり返った。エルポソにとってはクラブの歴史で最も思い出したくない瞬間だろう。

インテルと決勝で対戦したのはロシアのディナモ・モスクワだった。ロシア代表のシリロ、プーラ、ブラジル代表タトゥーらが所属。ベンチには第2監督として2012年のアジア選手権で日本代表のフィジカルコーチを務めたチチョがいた。

ディナモ・モスクワにとっては、3シーズン連続での決勝進出だった。インテルを2-1で破り、3度目の正直を果たした。ちなみに今日までロシアの名門はUEFAフットサルカップのファイナリストに6度なっており、最も多く決勝に進んだチームだ。しかし、優勝はこの時の1度だけとなっている。

ディナモ・モスクワが優勝した翌シーズン、欧州王座に輝いたのは、ヴィズ・シナラ・エカテリンブルグだった。下部組織を重視し、ロシア人だけで構成されたチームが欧州王者に輝いた。

2007-2008シーズンの決勝ラウンドはディナモ・モスクワのホームであるモスクワで行われた。前回王者のディナモ・モスクワは準決勝で敗れ、国内リーグの最大のライバルであるヴィズ・シナラに本拠地で優勝されてしまった。

ヴィズ・シナラの決勝の相手はスペインリーグ王者のエルポソだった。スペイン代表キケ、アルバロ、ブラジル代表ヴィニシウス、ウィルデが所属するエルポソに対して、ロシア人だけのヴィズ・シナラは3-3の末、PK戦で勝利した。

欧州をクラブでも、代表でも席巻していたスペインに対して、ロシアがその力を示した2シーズンだった。

リカルジーニョとベンフィカ

2009-2010シーズンの欧州王者に輝いたのはポルトガルのベンフィカだ。決勝ラウンドはベンフィカの本拠地であるリスボンで行われ、会場には1万人以上の観衆が集まった。圧倒的なホームの中でベンフィカは同国のクラブ史上初めて、欧州王者に輝いた。代表でも国際タイトルを勝ち取ったことがないポルトガルフットサルにとって、初めてのメジャータイトルだ。

ベンフィカの中心にいたのは、リカルジーニョだ。ポルトガル代表のレフティーはチームをけん引。ループシュートでルイス・アマドの守るゴールを脅かすなど会場を沸かせ、ベンフィカを欧州王者に導いた。リカルジーニョは欧州タイトルを置き土産にこのシーズン後に名古屋オーシャンズに移籍。またこのゲームでは現在名古屋オーシャンズに所属するペドロ・コスタもベンフィカの選手として、欧州制覇に貢献している。

バルセロナの黄金期

2011-2012シーズンでクラブ史上初めて国内リーグを制覇したバルセロナ。翌シーズンの2012-2013シーズンにはUEFAフットサルカップに出場し、初出場で初優勝を果たした。決勝の相手はディナモ・モスクワだった。

決勝ラウンドはスペイン・カタルーニャ州のレェイダで行われ、会場はまさにバルセロナのホームだった。大会得点王となったジョルディ・トーラス、キャプテンのハビ・ロドリゲスを中心にセルヒオ・ロサノ、リン、フェルナンダウらスペイン代表とウィルデ、アリらブラジル代表を揃えたスター軍団が地元観衆の前で、悲願だった欧州王者のタイトルを獲得した。

国内ではリーグ3連覇を達成したバルセロナは欧州も席巻。2012-2013シーズンは決勝ラウンドに進出したものの、準決勝に優勝したアルマトイ・カイラトに敗れ、3位。2013-2014シーズンは再び決勝でディナモ・モスクワと対戦し、ブラジル人アタッカーのディエゴの活躍もあり、5-2で勝利。クラブは早くも2度目の欧州タイトルを手にした。

3シーズンで2度の欧州王者と、まさにバルセロナは黄金期を迎えている。

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