課題と向上、駆け引きでの勝利(吉川智貴15-16・2節)
2016/08/28
2節、アウェーでのサンティアゴ戦は今の吉川智貴の現状を象徴するシーンが多く見られた。
まずは課題だ。
連携が不十分だ。
前半8分だった。吉川は最前線でボールをキープするスペイン代表アラ-ピヴォのキンテラをマークしていた。キンテラは吉川に背を向けて、ボールをキープ。サンティアゴのウーゴはキンテラに近づき、通り過ぎていく。オーバーラップだ。ウーゴをマークしていたのはヘスリートだった。ヘスリートはそのままウーゴについていったが、吉川はヘスリートが中に切れ込むキンテラのディフェンスに行くと考え、彼もウーゴのマークに向かった。よってフリーとなったキンテラは中に切れ込み、シュート。幸いにも失点にならなかったが、明らかな吉川のミスだった。チームの約束事、状況における優先順位、味方との連携。攻撃でも連携不足は見てとれた。たとえば、ポジショニングだ。1対1を仕掛ける味方の近くにポジションをとったことで、そのドリブルするスペースを奪っていた。
「まだ味方の特徴を完全に把握できていません。『ここで仕掛ける』『このプレーが得意、好き』といった部分です。だから、試合でそういう面が出てしまいます」
吉川自身も同僚のキャラクターを把握することなど連携の部分を課題だと感じている。
一方で向上した部分もある。
駆け引きだ。
前半にサイドで1対1を仕掛けられた場面だ。相手はスピードを使って、縦へ突破をしてきた。吉川は間に合わないと決断すると、すぐにファウルを"使った"。開幕節では縦に突破され、監督や同僚に「ファウルを使え」と指摘された。まだファウル数もたまっていない状況だったので、吉川はちゅうちょなくファウルを"使った"。攻撃では逆に相手をあざむいた。マグナ・グルペアの4点目は38分に左サイドで1対1を仕掛けた吉川がシュートしたボールをハビ・エチベリがゴール前でコースを変えて決まった。吉川はこの時間帯まで1対1を試みていない。そんな彼が終了間際に突然仕掛けた。ドリブルで仕掛けてくると対峙するディフェンスは想像していなかったのだろう。相手の虚を突く仕掛けだった。今節は吉川が駆け引きに勝ち、アシストを記録した。