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インタビュー「誰にでもわかりやすい結果を出していきたい」プエルトジャーノ・皆本晃

2016/08/28

プエルトジャーノの試合前集合写真

19節ロベージェ戦で1部リーグにデビューした皆本晃(前列左から2人目)。今季から1部で戦うプエルトジャーノはダビド・ラモス監督(後列右から2人目)が率い、ホームとアウェーでインテルに勝利するなど好戦績を残している。今はプレーオフを目標に戦っている。

18日のスペインリーグ19節、プエルトジャーノ対ロベージェ戦。この試合で日本人選手、皆本晃が1部リーグデビューを果たした。

府中アスレティックFCに所属していた皆本はこれまでにセゴビアでのトップチームの練習に参加したり、スペインでプレーするという希望を強く持っていた。昨季は2部サモラのトライアウトを受け、テクニカルスタッフからも評価されていた皆本だが、チームが財政難により2部を脱退。彼のチーム探しは今シーズン前にして、振り出しに戻ってしまった。

そんな皆本は昨年の9月初旬からスペイン1部リーグのプエルトジャーノのトップチームの練習に参加。今季1部に昇格したばかりのプエルトジャーノの練習に参加し、自分の実力を示し、見事、契約を勝ち取った。1月下旬に契約し、冬の移籍市場での入団を果たした。

そして18日に行われたロベージェ戦、前半残り13分38秒にプエルトジャーノの選手として1部リーグの舞台に立った。

皆本の所属するプエルトジャーノとはどんなチームなのか?

皆本はチームでどんな役割を与えられているのか?

皆本のチームの雰囲気は?

21日に皆本に電話でインタビューを行った。

──プエルトジャーノと契約した経緯について教えてください。

昨年の9月初旬から12月下旬までトライアウトという形で練習に参加していました。そして1度、日本に帰国しました。日本に帰国する時点でもうチームとの契約するという話になっていましたが、正式に契約が決まったのは今年の1月下旬です

──昨季は2部のサモラのトライアウトに参加していましたけど、チームが経営難でなくなってしまったんですよね?

6月くらいに当時のサモラの監督から『お金がないからみんな出て行くし、君との契約も無理だ』って言われました。それで夏の終わりにプエルトジャーノのトライアウトを受けることになりました

──プエルトジャーノはどんなチームですか?

いいチームだと思いますよ。ダビド・ラモス監督がいて、経験のあるベテラン選手、メリーノやウィルネルがいます。彼らが中心でその脇をクコなど若い選手たちが固めているチームです。チームの雰囲気もいいですし、ベテラン選手から学ぶことも多いですね。彼らは体が動かない部分もあるんですけど、それを経験でカバーしているというか、決定的なミスをしないですし、大事な時間帯ではきっちりプレーをします。そういう経験値が高いので。あと、クコという選手がいるんですけど、彼は上手いですね。なんでこのチームにいるんだろう?って思うくらいです(笑)

──プエルトジャーノのフットサルとはどういうものですか?

ピヴォを大事にしています。メリーノがピヴォで、あとウィルネルもピヴォをできますし。スペインではフェルナンダウとか、ベットンといった特別なピヴォを持つチーム以外はほとんどのチームがクアトロですけど、うちはピヴォを置いています。練習は2タッチが多くて、ゲーム形式も2タッチです。ポゼッションをしっかりして、そしてゴール前での動きを重視していますね

──チームを率いるダビド・ラモスはどんな監督ですか?

セットプレー、コーナーキック、ゴールクリアランス、すごいパターンが多いです。チームの練習に初めて参加した時に監督から書類を渡されて。『これを覚えないと練習できないから』って。そこには100個くらいの戦術が書かれていて(笑)全部覚えましたけど驚きました。ビデオ分析とかもちろんですし、試合前にはプリントで相手チームの情報を渡されて、そこには相手選手の特徴やキャラクターとか事細かに書いてあります。(日本代表監督の)ミゲルも細かいですけど、ダビドは『ここまでやるか!』っていうくらいすごく細かいですね

──そんなチームにおいて皆本さんが求められていることって何ですか?

最近になってやっと試合に出たばかりなので、監督から特に言われることはないですけど、僕は運動量を活かし、多く走り、ディフェンスラインの間でボールを受けたり、チームがうまく機能するためにプレーすることを意識しています

19節、デビューとなったロベージェ戦

──19節のロベージェ戦でピッチに立ちました。どのくらい出場時間があったんですか?

前半に1回、後半に2回でましたね。『こんなに出るか』ってびっくりするくらい出場時間がありました。15分以上はピッチにいました。監督からは『いつも通りやればいい』って言われました

──初めての試合を終えて、何か手応えはありましたか?

試合と練習って違うじゃないですか?だから僕はもうちょっと苦戦するかな?と思っていたんですけど、練習のようにボールは持てるし、試合のリズムにもすんなり入っていけました。それが手応えになりましたね。今までのセゴビアやサモラ、プエルトジャーノでの経験があったから、1部の試合でもそんな苦労なくできたのかなって考えています

──では満足がいくデビュー戦でしたか?

試合にはスムーズに入れましたけど、やっぱりチームが勝てなかったので

──では実際に1部リーグのピッチに立って、課題は何か見つかりましたか?

もうちょっと決定的な仕事、結果ですね。目に見える数字、ゴールを決めないといけないです。僕はピヴォとかではないですけど、やはり自分は外国人の日本人だし、今後も1部リーグでプレーしていくためには誰にでもわかりやすい結果を出していきたい。そうすることで自分の市場価値もあがってくると思うので。ただ自分の武器はスピード、運動量、そして(シンキングスピード、戦術眼など)頭だと思っています。スペインでは必ず誰かが見ているので、目に見える結果も残していきたいです

──以前、皆本さんと話した時に「いずれはスペインの強豪チームでプレーをしたい。そういうプランを自分の中で立てている」と言っていました。今はスペインリーグ1部のピッチに立ちました。プランは着実に進んでいるように思いますけど。

自分の中ではプランは見えていますし、またそれができると自分のことを信じています。自分に実力がついてくれば、中堅チームへ。そして強豪へ。2年刻みでプランを立てていますが、僕はもう25歳になったので時間はありません。だから、わかりやすい結果を出さないといけないし、自分の武器を磨かなければいけません。海外に出て、日本人選手ってなるとフットサルをできないと思われますけど、日本人のほうがスペイン人よりも速いし、日本人選手もトップクラスでできると感じています

──今季プエルトジャーノは前評判に比べて、ここまでいい結果を残してます。あと11試合、今のチームの目標は何ですか?

完全にプレーオフですね。それはクラブのみんなが言っています。とにかくプレーオフに行くためにも次のタラベラ戦(※)がすごく重要です。うちのチームはバルサは残っていますけど、もうエルポソ、インテルとのゲームは終っていますし、今後の相手は自分たちと同じか、もしくは下位のチームです。なのでカレンダー的には自分たちは有利な立場だとみんな言っています

※前節、19節終了時点でタラベラは勝点25で9位、皆本が所属するプエルトジャーノは勝点24位で10位の位置にいる。試合は24日金曜日にタラベラのホームで行われる。

──スペインで結果を出せば、ワールドカップもおのずと見えてくると思います。

自分はクラブで結果を出すことです。代表の試合では日本人とではなく、外国人と戦います。だから僕がスペインでプレーしているというのは他の選手に比べてアドバンテージになると思います。まず今はしっかりスペインで自分のキャリアを積み重ねていきたいです

プエルトジャーノFS

プエルトジャーノFS(Puertollano FS)の本拠地は首都マドリッドから南へ200キロのカスティーリャ・ラ・マンチャ州シウダ・レアル県にある。マドリッドからは特急列車で約1時間、車で約3時間の場所だ。プエルトジャーノは2005年に日本からファイルフォックスが参加したインターコンチネンタルカップが行われた町でもある。

1994−1995シーズンに2部リーグに昇格。その後、2000−2001シーズンに2部Bに降格するも、2007−2008シーズンに2部に再び昇格を果たし、翌シーズンには2部3位になる。しかし、プレーオフを勝ち抜けず、1部昇格を2シーズン逃してきた。そして2010−2011シーズンに2部リーグ王者となり今季から1部で戦っている。

今季はスペインリーグの強豪インテルからホームとアウェーでそれぞれ白星を手にするなど19節終了時点で10位と前評判に比べて、すばらしい戦績を残している。所属選手には元スペイン代表のウィルネル、メリノら経験のある選手がいる。またダビド・ラモス監督らマドリッド州出身のテクニカルスタッフ、選手が多く、今季開幕時にはメンバーの全員がスペイン人だった。

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