印象的なミス、目立たない好プレー(吉川智貴15-16・4節)
2016/08/28
29分、吉川は決定的なミスをした。自陣ゴール前でボールが足に引っかかり、もたついている間に忍び寄ってきたリカルジーニョにボールを押し込まれた。前半を1点リードで終え、アウェーで昨シーズンの王者と接戦を演じていたチームにとって手痛い失点だった。誰が見ても明らかな吉川のミスだった。
相手ゴレイロが不可解な判定で1発退場した。マグナ・グルペアはこの日、運も味方していた。後半も一時は2点をリードされたが、終盤にパワープレーから5-5に追いついた。残り30秒でリカルジーニョが1人でカウンターを決め、土壇場で決勝点を奪われたが、マグナ・グルペアは勝利、もしくは引き分けに十分値するパフォーマンスを示していた。それゆえに吉川の軽率なミスが悔やまれる結果となった。
4節インテル戦、大きなミスを犯したが、吉川のパフォーマンスは悪くはなかった。前半に名古屋オーシャンズの同僚だったリカルジーニョにサイドを突破されそうになると、吉川はちゅうちょなくユニフォームを引っ張った。チームのファウルも溜まっていない。抜かれれば、失点の可能性は高く、リードを2点に広げられてしまう。試合の流れを考慮した上での戦術的なファウルだった。
イマノル監督からの信頼の厚さもうかがえる。相手ゴレイロが退場した数的優位な場面で投入された。その局面でシュートを早く打ちすぎてしまう場面もあったが、吉川のパフォーマンスはインテル相手でもそれまでの2試合と変わることはなかった。インターネット中継していた解説者も「マグナ・グルペアが吉川と契約した時は驚いたが、ミゲル・ロドリゴが2015年アジアで最高の選手と評している」と話し、そのパフォーマンスに納得していた。
吉川は攻守をつなげるために汗をかくトラバハドールで、観衆を沸かせるようなタイプの選手ではない。ゆえに彼の長所はクローズアップされにくい。決定的なミスも犯したが、目立たない好プレーをしていたのも事実だ。ミスをした彼を起用し続けたイマノル監督の姿勢がそれを裏づけていた。