"Yoshikawa"と認知されるために必要なのは何か?(吉川智貴15-16・国王杯ベスト16・バルセロナ戦)
2016/08/28
国王杯ベスト16、トーナメント3回戦でマグナ・グルペアはバルセロナと対戦した。バルセロナは2012年、2014年に欧州制覇を達成し、スペインリーグでは2010-2011シーズンから3連覇を果たした強豪で、その陣容は世界選抜だ。スペイン代表リン、セルヒオ・ロサノやブラジル代表バテリアら大国を代表するスターがずらりと並ぶ。
吉川はそんな相手でも、今までの試合のように自分の与えられた役割を難なくこなしていく。メイン業務は同僚のフォロー、攻守の円滑油となることだ。具体的に言えば、攻撃ではボールを持つ味方のフォローに入り、ディフェンスでは第1ラインに入れば、ボールホルダーとの距離を積極的に詰めて、プレスするチームをけん引する。吉川は、バルセロナが相手でも自分の役割を着実にこなしていた。
もちろん改善すべき点はある。たとえば、どんな局面でも決まったように必ずフェイクをかけることだ。時間が経つにつれ、効果的ではなくなっていた。もう1点は本人も試合後に口にしていたが、裏へのスペースのランニングだ。ゴールに直結する攻撃を優先するチームゆえ、ディフェンスの裏に目がけたロングボールは多い。その時に走るタイミングと狙うスペースのイメージに、同僚とわずかなズレがある。しかし、駆け引きのタイミングや味方との連携は時間が解決してくれるはずだ。
序盤戦が終わり、チームに適応した吉川にとって、中盤戦からシーズン終了まで大きな課題となるのは結果を残すことだろう。個人の結果だ。吉川は攻守に汗をかくトラバハドールであり、ゴールやアシストを決めなければならない役割ではない。とはいえ、チーム戦術を高いレベルでこなすトラバハドールは山ほどいる。では同じトラバハドールでもインテルのスペイン代表ポラ、バルセロナのブラジル代表ガブリエルはその他大勢と何が違うのか。彼らは攻撃で結果を残す。試合を決めるアシストであったり、得点を奪っている。吉川もその点は実感している。イマノル監督から毎日のトレーニングで、得点を常に求められているからだ。
バルセロナの本拠地、パラウ・グラナに駆けつけた観衆の中で対戦相手の「Yoshikawa」を記憶した人はどれほどいただろうか。与えられた役割をこなしつつ、さらにチームにプラスアルファをもたらす。選手としてさらに進化するためにも、吉川に今後欠かせないのは誰の目にも活躍したことがわかる結果だ。