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"トラバハドール"とは?

2016/08/28

前線へダッシュするモビスター・インテルのラファエル

インテルに所属するブラジル代表ラファエル。2012年ワールドカップ優勝メンバー。攻守に惜しみなく汗を流し、効果的なプレーをする。近年は持ち前のパスセンスに加えて、得点力も開花。決定的なゴールを決める選手に変貌した。

ドリブルするFCバルセロナ・ラッサのガブリエル

バルセロナに所属するガブリエル。2008、2012年のワールドカップ優勝メンバー。ブラジル、スペインで勝ち取れるタイトルを全て手にした名手。

相手と競り合いながらパスを出すモビスター・インテルのポラ

インテルに所属するスペイン代表ポラ。2005-2006シーズンはナサレノで木暮賢一郎の同僚だった。攻撃的な選手だったが、徐々に後方にポジションを移し、代表でもクラブでも攻守に欠かせない選手となった。

スペイン語で"トラバハドール(Trabajador)"という単語がある。形容詞だと「働き者、勤勉な」、名詞だと「労働者」という意味になる。そして、フットサルだと「攻守に汗を惜しまないチームの縁の下の力持ち」「攻守の円滑油」となる。フットサルの例文はこうなるだろうか。「監督がチームのメンバーの中に1、2人は必ず置いておきたいと思う選手」

バルセロナのガブリエル、インテルのラファエル、そしてポラ。彼らはスポットライトが毎試合当たる選手でもなければ、そのプレーでスタンドが思わず腰を浮かすようなプレーをするわけでもない。だが誰もが名手として認めている。セルヒオ・ロサノやリカルジーニョはスペクタクルなプレーで決定機を演出する。彼らはそんなスター選手の同僚がストロングポイントを活かせるようにスペースや空間、時間をつくるのが主な仕事だ。攻撃では的確な位置でフォローし(もしくはブロックなどで直接的にアシストしたり、時には長い距離を走ったり)、ディフェンスでもカバーリングのポジショニングに入ったり、フォローに回る。彼らはチームの戦術、戦い方を最も理解し、規律あるプレーを遂行する。スター選手ばかりでは、バランスは悪く、チームは成り立たない。もしファルカンがコートに4人いたら、ブラジルは機能しない。ファルカンがいて、その横にガブリエルがいるから、セレソンは理想的なバランスを手にする。強豪チームにはこのように必ずクオリティの高いプレーをする"トラバハドール"がいる。

彼ら"トラバハドール"のプレーが目立たないのは、当然だ。僕らは大抵ゲームを見る時、ボールを追いかけている。リカルジーニョやセルヒオ・ロサノはボールがある時にスペクタルなプレーをする。観衆の視線が集まる時だ。一方、"トラバハドール"はボールがない時に自分の仕事を黙々と行っている。1対1を仕掛けやすいようにスペースを空けたり、マークをひきつけたり。彼らのランニングで、歓声が沸くことはない。しかしチームを預かる指揮官は、そのプレーを見逃さない。彼らのプレーに大きな価値を見出し、重宝する。

今シーズンから吉川智貴がスペインリーグでプレーしている。彼が所属するマグナ・グルペアで点取り屋ラファ・ウシン、もしくはレフティーのチャンスメーカー、ヘスリートが決定機をつくった時に、吉川がどんな風に絡んでいたのか、注目していただきたい。"トラバハドール"に注目することで、いつもとは違う視点で、ゲームを楽しめるのではないだろうか。

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