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フットサル日本代表

[マッチレポート]進化したディフェンスからの攻撃と勝負所のゲーム読解力(トレーニングマッチ・対タラベラ戦)

2016/08/28

このタラベラとのトレーニングマッチ、昨年のスペイン遠征以来、僕は日本代表の試合を目にした。ゲームを見て、まずわかったのはディフェンスの進化だ。ディフェンス時にフリーとなる相手選手はいないし、またブロックをされても、しっかりチームとしてカバーリングなど対応していた。受け渡しなのか、マンマークなのか。その戦術の切り替えもチームとして統一がとれていた。

ディフェンスが安定すれば、当然攻撃にも出やすい。

ボールを奪った後の日本のショートカウンター。この攻撃には昨年にはなかった一体感と迫力がある。

日本の1点目は木暮のループパスに北原が走りこみ、飛び出してくる相手ゴレイロの鼻先でクロスをあげて、走りこんだ木暮が無人のゴールに詰めたものだ。2人が同じ名古屋に所属しているということは見逃せないが、ボールを奪った後に手数を少なくより直線的に仕掛ける。そんな共通のイメージを2人はすぐに思い描き、実行した。日本はカウンターから先制点を奪う。

12分に生まれた小宮山のゴールもそうだ。仁部屋が相手からボールを奪い、カウンター。最後は仁部屋のパスを小宮山がゴール前で合わせて決めた。

この2得点の場面が象徴的なのはチームの最後尾となるフィクソの選手が前線に顔を出していることだ。北原に、小宮山。彼らはボールを奪うと迷わず、前線に駆け上がる。最後尾の選手が前線へ。日本のカウンターに迫力があるのはそのためだ。前線の2人だけでなく、最後尾の選手が長い距離を駆け上がってくる。当然、相手ディフェンスからすれば前線にいる選手が上がってくるよりも恐いし、捕まえづらい。

(ボールを)取った後に飛び出すっていうのは監督もずっとおっしゃっていたので。(ボールを)取った後は、最低でも1枚は飛び出せ、と。それは僕とか最後尾の選手とか関係なく、どんどん飛び出していけた。そこはすごく意思統一ができていたと思います

この日2得点を決めた小宮山は試合後にそう語った。

彼が言うとおり、日本はカウンターの場面では意思統一ができていた。小宮山や北原らが上がれば、それを察知し、周りの選手はバランスを見て、最後尾にポジションをとった。カウンターを仕掛けていてもチームの重心は安定していた。それはカウンター時にピッチにいる4人が共通のイメージを描けていたからだ。

やっぱり走らないと強い相手に勝てないと思うので。どんな相手でも切り替えの速さだけでたぶんゴールまで行けます。僕も今日あと2点くらいとれたと思うんですけど。僕はドリブルもうまくないですし、パスもうまくない。僕は切り替えの速さとか運動量の多さで勝負できたらなって思います

切り替えの速さだけで決定機をつくることができる。実際、このゲームでカウンターからゴールを何度も奪っている。また得点場面以外でもショートカウンターから決定機をつくりだしていた。

タラベラは日本のディフェンス、そしてカウンターに苦戦した。それは後半も変わらなかった。日本はカウンターから逸見が単独で抜け出し、3点目を決めた。日本の4点目もディフェンスからの素早い攻撃から生まれている。小宮山が前線で相手からボールをとり、そのまま得点を奪った。

ディフェンスからの素早い攻撃で日本はこの日、何度もスコアボードを動かしていた。

勝負所での戦況を見る目

ディフェンスからの攻撃は昨年よりも切れ味を増している。一方、過去のスペイン遠征でもあったミスを今年も繰り返しているのもまた事実だ。

このゲームで顕著だったのは大事な時間帯に失点を許すということだ。つまりチームとして、そして選手各々がゲームを読み取れていなかった。その結果、タラベラとのゲームは5-5の同点に終わった。

1点リードしていた前半、日本は残り2秒でゴール前のフリーキックから同点ゴールを奪われた。日本は崩され、木暮が仕方なくゴール前の位置でファウル覚悟のプレーで止めた。そこで得たフリーキックをタラベラはきっちり決めたのだ。

後半もそうだった。日本は1点をリードしていたが、残り8秒で同点にされている。パワープレーをした相手のシュートが小曽戸に当たってコースが変わり決まるという"不運"だったが、あの"不運"も防げていたものだった。

この失点の約20秒前、日本はタイムアウトをとった。もちろん勝ち切るためだ。プレー再開後、自陣深くに引いた逸見が対角線上に長いロングボールを蹴った。そのパスを受ける役目は星だったが、彼は1度相手ディフェンスの後方に走ったが、それをやめて自陣に中央へ戻り、そこで逸見からのグランダーのパスを受けようとした。受け手と出し手のイメージが合致しなかったロングパスは相手へのプレゼントボールとなった。そして、その贈り物をタラベラは幸運を味方につけ、同点ゴールへと変貌させた。

もし逸見と星のイメージが一致していれば、タラベラの同点ゴールは生まれていなかっただろう。残り数秒という時間でそういうミスが発生する。それはチームとして、もしくは逸見と星が戦況を見極めることができていなかったからだ。小宮山に土壇場での失点について尋ねるとこう返答があった。

最後も残り22秒でマイボールで意思統一がはかれなかった。ラファ(逸見)が裏に蹴る。監督はショウタ(星)に前に残れって指示を送っていたと思うんですけど、おりてきちゃって、プレゼントボールになった。その後に前からディフェンスにいくことを確認して前からいったら、やられた。だからそういうリスクマネジメントというか、ちょっとしたミスだと思うんですよね。ショウタが(ディフェンスの)裏に行って、ボールを押さえていれば、そのまま20秒過ぎたかもしれない。このレベルっていうのはそういうちょっとした隙を見逃さないじゃないですか。もうね、こういうのは何回も経験しているんですけどね

では、このような戦況を見誤るミスを繰り返さないためにはどうすればいいのだろうか?小宮山の返答はこうだった。

こういうギリギリの戦い、残り2秒でも3秒でも点をとってくるチームとの試合をこなしていくしかない。僕は何度も経験していますし、知っていますけど、(今のチームは)まだまだこういう厳しい試合を数多く経験している選手はいないと思うので。ましてや今度のアジア選手権はワールドカップの出場権が懸かっている。そういう舞台に初めて挑む選手が多い。本当にみんなシビアな試合は初めてなので、こういう厳しい試合は何度も何度もやっていく必要があると思いますね

日本は今年もスペイン遠征で復習をしている。

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