座間健司ブログ

海外フットサル情報ブログ

ブラジル

ブラジル代表の伝説のストライカー、レニージオが引退

2016/08/28

ブラジル代表の試合でドリブルを仕掛けるレニージオ

レニージオ、最後の国際Aマッチは昨年に行われたパラグアイ戦だった。

4月11日夜にブラジル代表でポケルに所属するレニージオが自身の引退を発表した。レニージオは家族の支えを感謝し、引退後も何らかの形でフットサルに関わっていくと語っている。

「私は怪我に負けた」

引退の動機はここ2シーズン負傷に悩まされ、満足にプレーができていなかったことだ。レニージオは「怪我に負けた」と語っている。レニージオは左膝に負傷を抱えており、昨年の8月16日には右膝半月板の手術を行なっていた。ブラジルの天才は負傷に耐えられず、35歳で引退を決断した。

レニージオの現役最後の得点は3月24日に行われたブラジルリーグのインテリ戦。その試合でそのゴールを守っていたインテリのギッタアーは「こんなことを自分が言うとは思っていなかったけど、彼に最後の得点を決められたがそれは名誉なことだ」と語っている。

ブラジル、スペインなどで得点王

レニージオは元ブラジル代表のペセ監督から「私が今まで見た中で最も優秀な選手」と絶賛されるほどのタレントを持つレフティーのピヴォ。高いスキル、強い身体、そして素早い判断力にイマジネーション。天才的なストライカーだ。現ブラジル代表のマルコス監督も「すごい高いスキルを持っている。まさに"フェノメノ(驚異の意)"だ」と言っていた。ペセ監督が指揮していた2008年のブラジル代表で絶対的なエースはファルカンではなく、レニージオだった。

レニージオはブラジルリーグで得点王5回、スペインリーグで得点王3回、スペインリーグMVP3回に輝いている。フットサルの両大国でこれほどの実績を残す名手は今後現れることはないだろう。2000年にはブラジルリーグで50得点を決めていた。

ブラジルリーグではリーグ優勝4回。1999年アトレティコ・ミネイロ、2001年にウーブラ、2007、2010年にマウウィーで優勝を果たしている。スペインリーグでは1回もリーグ優勝を経験していない。またマウウィーでインターコンチネンタルカップ制覇に挑んだが、決勝でインテルに敗れている。

レニージオは2002-2003シーズンからスペインのエルポソでプレー。リーグ優勝を達成することはなかったが、得点王、リーグMVPに3季連続で輝いた。その後、となり町のポラリス(現カルタヘナ)に移籍。彼の移籍金は約1億円だったと地元メディアは報道していた。

彼はブラジル代表として2000年世界選手権に出場。チームは決勝でスペインに敗北。レニージオは敗戦の責任を監督に押しつけた連盟に失望し、その後ブラジル代表を辞退。2005年ペセ監督が代表監督になり、セレソンに復帰。2008年母国で開催されたワールドカップでは見事チームを優勝に導いている。

現役最後の2シーズンはリオ・デ・ジャネイロに本拠地を置くポケルでプレー。昨季開幕時には元日本代表監督セルジオ・サッポ監督が指揮をとっていたチームだ。

2008年ブラジル代表キャプテンで、スペインリーグMVPに2度輝いたヴィニウスは彼の実の弟。兄弟でワールドカップ制覇をしている。

豪快で繊細な天才

レニージオはピッチを離れるとすごく温厚な性格でいつも笑顔を絶やさない。ピッチ内でも怒鳴るようなことはなく、静かに集中し、プレーをしている。彼のゴールはアートの域に達していた。強烈なミドルシュートでゴールネットを揺らしたかと思えば、繊細なタッチでゴレイロの頭上を抜くループシュートを決めることもできる。彼のプレーは決して華麗ではない。ただ無駄がない。とにかくシンプルで美しい。ゴール数が特筆されるが、彼のプレーはチームにも欠かせないものだった。左利きのピヴォとしてエルポソの攻撃はいつも彼が起点となっていた。ブラジル代表でもそうだ。彼は典型的なピヴォではなく、アラ-ピヴォだ。ゲームメイクに参加し、決定機を演出するパスも出す。

レニージオ対ルイス・アマド

僕は彼とルイス・アマドの対決がたまらなく好きだった。世界最高の矛と盾がぶつかり合うさまはスペクタルそのものだった。2008年グラナダで行われたインターコンチネンタルカップ。インテルが大量リードを奪っていた終盤、ゴール前でパスを受けたレニージオはスライディングをするシュマイケルとルイス・アマドを床に転がし、鮮やかなループシュートを決めた。彼はその前のプレーで強烈なシュートを放っていた。そして、その直後のプレーで全く違う柔らかいタッチからループシュートを決めたのだ。きっとシュマイケルとルイス・アマドは強烈なシュートが来ると予想をしていたのだろう。駆け引きと技術がつまったすばらしい得点。レニージオはゴールに転がったボールを拾いに行くと、ルイス・アマドは何も言わずにレニージオにボールを手渡していた。

2008年のワールドカップ決勝の終了直前のプレーも忘れることができない。ディフェンス2人を抜き去った後に飛び出してきたルイス・アマドをあざ笑うかのようなループシュート。得点にはならなかったが、僕はこの決定的な場面でのスーパープレーを忘れることはないだろう。あのシーンは一瞬、時間が止まったようだった。

世界最高の選手、レニージオ。あれほどのタレントを持った選手が35歳で引退するのはあまりにも早すぎる。僕は今年のワールドカップでまたレニージオのタレントを目にすることを楽しみにしていたのに。ずっと見ていたい選手がまたひとり引退してしまった。

表彰状を受け取り笑顔を見せるレニージオ

-ブラジル
-, , ,