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欧州選手権

[ベオグラードの街角で]ベオグラードで世界中を虜にしたリカルジーニョ(欧州選手権2016)

2016/08/27

ボレーシュートを放つリカルジーニョ

スロベニア戦でのヒールシュート、セルビア戦でのゴラッソ、スペイン戦のヒールリフト。ポルトガル代表のリカルジーニョは今大会、毎試合で必ず強烈な印象を残すゴールを決めてきた。

観客の声援に応えるリカルジーニョ

準々決勝スペイン戦後、コート中央に促され、ベオグラードの観衆に別れを告げたリカルジーニョ。

少なくとも2月6日にベオグラード・アリーナに詰めかけた1万1,161人のセルビア人は、リカルジーニョと共にフットサルを忘れないだろう。

2月6日に行われたポルトガル対セルビア戦は、タイトルも何も懸かっていないグループリーグの試合だが、フットサル史に残るゲームだった。セルビアが強豪ポルトガルに勝利。欧州選手権の最多入場者数を更新。そして何よりも世界中に一瞬にして広まったリカルジーニョのゴラッソだ。ポルトガル代表の偉大なゴールに、母国を応援するセルビア人の観衆も思わず立ち上がり、拍手を送った。失点したにもかかわらず、スタンディングオベーションが起こったのだ。試合開始のメンバー紹介ではその名前がコールされると本人が「俺が何をした?」とチームメイトと苦笑するほど大きなブーイングが会場を包んだが、彼はそのプレーで観衆を心変わりさせた。憎悪から尊敬、そして称賛の対象へ。約20分たらずでベオグラードの会場内のリカルジーニョに対する眼差しが変わった。

前半14分、リカルジーニョは左サイドで1対1を仕掛けていた。左足裏で転がすと同時にボールをすくい上げ、ディフェンスの背後に送る。身体を入れ替えるようにして、ディフェンスの背後を奪い、落ちてくるボールを胸で前に押し出し、バウンドしたボールをダイレクトボレー。矢のようなシュートがゴールネットに突き刺さると、それまでブーイングしていた観衆は絶叫し、スタンディングオベーション。リカルジーニョは床に頭をつけて、その拍手に感謝した。ポルトガルへの憎悪は一瞬にして、霧散した。セルビア人をリカルジーニョが虜にした瞬間だった。

リカルジーニョのこのディフェンスの抜き方は、昨シーズンのチームメイトだったオランダ代表歴のあるモロッコ人イスマエルが得意としていたドリブルで、リカルジーニョもトレーニングでよく試していたようだ。

リカルジーニョは今大会、印象的なゴールを毎試合必ず残した。ハットトリックを達成したスロベニア戦ではヒールで先制点を決め、準々決勝スペイン戦では"ミニ"ヒールリフトでディフェンスを抜き去り、トーキックでゴールに突き刺した。スペイン戦ではその前に行われた母国のゲームの応援に訪れたセルビア人がほとんど会場に残り、リカルジーニョを応援した。

敗退が決まった準々決勝スペイン戦の後には、1人だけコートの真ん中に促され、万雷の拍手をする観衆に別れを告げた。リカルジーニョは欧州選手権でセルビア人の、そして世界中の人々の心をわしづかみにしたが、またしてもポルトガル代表の一員としてタイトルを勝ち取れなかった。

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